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『鋼』でヒュハボ  真夜中の訪問者 ~ A darling moon ~ [二次創作SS]

さて...このカテゴリーでは、久しぶりの更新です。
この作品は、華月がヒュハボを書きはじめて、最盛期の頃の作品群で『MOONシリーズ』第一弾、と云ったところでしょうか?
時系列的には、「Cry for the moon,but...?」から「A darling moon」を経て「FULL MOON」へとつづく予定です。
今回も作品を進呈したサイトマスター様から特別に頂いた素敵な挿し絵をアップしておりますので、そちらもお楽しみに♪
それでは、興味のある方は『続きを読む』からどうぞ!


     ―――― それは、様々な想いが交差する月のない雨交じりの夜・・・


              中央行き始発列車が走り出すまでの短くも至福な時間 ――――

           

真夜中の訪問者 ~A darling moon ~

 「よっ、また泊めて貰いに来たぞ!」
 
 玄関のドアを叩く音にハボックが慌ててドアを開ければ、そこには案の定と云うか、やはりと云うか昼間大佐の執務室で出会った中央から出向中の上官が、酒を片手に陽気に手を挙げる姿があり・・・ハボックは、げんなりと肩を落とすとため息をついた。

 「・・・中佐・・・オレんとこは、宿屋じゃないんスけど。」
 「おう、勿論知ってるぞ。」
 ハボックの遠まわしの嫌味に、そう云ってヒューズが胸を張る。
 「(・・・威張れることじゃ無いでしょうが・・・)宿泊施設なら軍にだってあるじゃないですか。」
 はあ~っと、ため息をつきながらもハボックは身体を脇にずらすと、ヒューズを中に招き入れた。
 「あそこの飯は不味いからな。」
 ヒューズはそう言って笑うと、手にした酒をハボックに手渡す。

 いつの頃からか、彼の人は『等価交換』・・・と言っては、酒を持ってハボックの自宅へ押しかけて来るようになっていた。
 そして食事と寝床を確保すると、翌朝には中央行きの始発列車に乗り家族の許へと帰って行く・・・それが最近では、ヒューズの東方に於けるお決まりのパターン。

 「・・・って、また食っていくつもりですね?」
 「おっ、食わしてくれるのか? 悪いな、少尉。」
 心にも無いことを・・・そう思いつつ、ハボックは既に何度目かになるであろうため息をついた。
 「・・・で、何が食いたいんスか?」
 ハボックはヒューズに背を向けると、冷蔵庫の中身を思い浮かべてメニューを考えながら、一応はヒューズの意向を確認する。
 「そ~だな~。」その問いかけに、ヒューズが考え込むように腕を組む。と、何かを思いついた様にポンと手を叩くと、悪戯っぽい表情を浮かべながらつづける。「・・・おまえ、とか?」
 ヒューズのその答えに、ハボックがその場でピシリと固まった。
 「て~のは、冗談だって・・・お~い、少尉~?固まってるぞ~?」
 「わ・・・笑えない冗談は、止めてくださいよ!」
 思わず硬直したハボックではあったが、やがて自分の頬の熱さを自覚した瞬間、その赤面した顔をヒューズに見られぬよう、そのままあたふた台所へと駆け込む。

( ど~して中佐は、ああ心臓に悪い冗談をオレに言うんだ~! )

 ハボックはキッチンのシンクに凭れかかりながら、ドキドキと高鳴る鼓動を必死に鎮めようと何度か深呼吸を繰り返し・・・・・・どうやら収まったらしい。
 そして最後に、気を取り直すように大きく息を吐くと、居間の方へ顔だけ出した。
 「え~と、中佐?冗談抜きで、夕食もいるんスか?」
 「あ~、そいつはロイともう済ませてるからいいぞ。」
 勝手知ったる他人のなんとか ―――― と云った風情で、居間のソファーに寛いでいたヒューズがひらひらと手を振ってそれに応える。
 「・・・大佐んとこ行ってたんスか?」
 ヒューズの答えに、ハボックの表情が再び硬くなった。その微妙に棘を含んだ声音に、ヒューズがおやっ?っとした様子でハボックを見遣る。
 「ん~?帰りしなに外でな。」
 「じゃあ、なんでオレんとこなんかに来たんスか? 酒ならそのまま、大佐と一緒に飲めばいいじゃないっスか。」
 ハボックはヒューズの答えに下を向くと、唇を噛んで手を握り締める。
 そして思う・・・どうして中佐はこうも自分に構うのか、と・・・
 『あの日』を境に、自分とヒューズとの関係は、ハボックにとってどうにも気拙くて落ち着かないものとなった。

 ―――― そう、両親を亡くした【あの事件】でヒューズに保護された少年が自分だと、
                            彼の人に知られた『あの日』から・・・ ――――

 『大丈夫だ。俺が絶対に護ってやるし、またここに帰ってくる・・・約束だ。』

 そう言った彼の人が、笑って自分の金色の髪を掻き回す。
しかし『あの時』の自分は、同じ様に約束しながら二度と帰ってはこなかった父の背中を思い出し、彼の人にしがみついて困らせたものだ。

 ( 同情・・・なのか・・な? )

 「な~に黄昏てるかな~、少尉?」
 ポンポンとハボックの金色の頭を軽く叩くヒューズの手の温かさに、ハボックはハッとして自分が囚われていた過去の想いから浮上する・・・と、自分が無意識のうちに掴んでいたものに気がつき・・・パニックに襲われる。

 「わわっ、中佐!? いつの間に?」
 「そりゃ~、俺の台詞だと思うが?」

 自分の様子を気遣い、いつの間にか台所まで遣って来ていたヒューズの、その青い軍服の裾を握り締めたまま立ちつくしていたハボックは、慌ててソレを離すと飛び退いてヒューズとの距離をとる。
 しかし、今まで自分が無意識のまま握り締めていた、そのくしゃくしゃになった裾が目に入り、ハボックを更に慌てさせた。


 「す、すみません、中佐!オレ・・・!?」
 「あ~あ、いいって、気にすんな。それより大丈夫か、お前?」
 「あ・・・///」

 ハボックは、自分の頬が紅潮するのを意識しながら俯く。

 ( やばい・・・また、やってしまった・・・! )

 ヒューズがこうしてハボックの家に来ては、いつも意識が飛ぶほど酒を飲んで繰り返す自分の失態を素面の状態でやってしまっては、笑って誤魔化す事も出来ない・・・そうして顔を上げることも出来ずハボックは途方にくれた。

 「・・・まあなんだ。」ヒューズはそんなハボックの様子に苦笑すると、その手の中に収まった金色の髪を掻き回す。「・・・ロイとはまあ、仕事や食事をしながら色々と話す機会もあるが、お前さんとはそ~いう訳にも如何だろ?誰にも気兼ねせずに酒を飲んで過ごせるこの場所が、俺は結構好きなんだが・・・迷惑だったか?」
 「そ、そんなことは・・・なっ!!??」
 ハボックは慌てて顔を上げると、ヒューズの方へと向き直る、と・・・その途端、自分の額に受けた柔らかい感触に硬直した。

 「あ~、はい、はい。ま~た、固まってるぞ、少尉?・・・まったく、いい加減慣れろよな。」
 ハボックの額に、まるで宥める様なキスを落としていったヒューズが、わははははと嬉しそうに笑いながら居間へと戻っていく。

 ( だ~か~ら~、オレはあんたのこどもと一緒じゃないんスけど~~>泣。)

 ヒューズのその、如何にも楽しんでいます、と云った様子の後ろ姿に、ハボックが脱力すると再び大きなため息をつく。

 ―――― まったく・・・あれは一体いつ頃からだろう?

 時折ヒューズが自分にしてみせる、こどもに対する様なその仕種に、癒されている自分がいることに気づいたのは・・・

 ( 参ったな・・・悔しいけど、なんかホッとする。)

 ハボックはもう一度、今度は安堵に満ちたため息を漏らすと、気を取り直して簡単な酒のつまみの準備を始めるべく台所へと向っていった。
 

  ―――― こうしてまた、中央行き始発列車が発車するまでの短いが
     
              ハボックにとっては至福の時間となりつつある夜が始まる ――――

                                                ~END~

        真夜中の訪問者 ~ A darling moon ~ 2004.4.5. 脱稿 2004.6.13. 改稿


【あとがきと云う名の言い訳】

 佐貴とうき様の誕生日プレゼントとして捧げた『Time is ...?(仮題)』の改訂版です。
 その当時、華月は結構、その・・・焦っていました。
 間に合わないよ~、と思いつつ仕上げたこの作品に、どうしても表題が思い浮かばず、『真夜中の訪問者』と分類してコソコソと仕上げをしておりました。
 しかしいざ献上しようとしたところ、表題がどうしても思い浮かばず・・・
 苦し紛れの表題が『Time is ...?(仮題)』でした。
 しかし...

 本当に「月の無い雨交じりの夜は色々想いはあれども愛しい時間に変わりは無いと思いますし。ただ想いは視認できるものではないので、出ていない月がそれで・・・」


 と云う、佐貴さまのお言葉と共に 『A darling moon 』 などと云う素敵な表題を頂いたのを機に、ちょこっと手直しなんかをしてみました。 あうっ・・・素敵すぎ♡
 こんな素敵な表題を頂き、華月はとっても幸せ者です♡ ありがとうございました!

       http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=isisu 

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2007-07-01 22:22  nice!(0)  コメント(0) 
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