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『西方の魔女』東方視察編:10 [『西方の魔女』]

新年明けましておめでとうございます♪...なんて、かな~り今更な挨拶をしてみました。
2008年度最初の『西方の魔女』更新は、本編第十章と云う結構キリのいい所からですね?
前回はシリアスから始まり、ギャグで締めた、と云った按配でしたが...今回はそのギャグの続きっぽい感じになると思われます。まぁ、大佐絡みならこの流れは当然押さえておかないと、ね(笑)?
それでは、興味のある方は続きを読むからどうぞ♪


『口封じ』 には二種類の意味があるけれど

行き着く先がどちらも一緒と云う気がするのは ・ ・ ・ 私の気のせいだろうか?

『西方の魔女』東方視察編 第十章 ~ END OF THE DAY ~

 「ハミルトン中将を乗せた車が襲撃されただと!?」

 東方司令部司令補であるロイ・マスタング大佐が、疲労困憊の後に漸く東方司令部に帰還して先ず受けた報告は、彼らより先に司令部へと戻ったはずのイシス・ハミルトン中将がその帰途で賊の襲撃にあい負傷した・・・と云う予想外の事態だった。
 その報告を聞くなり、ロイは顔色を変えて中将が運ばれたと云う医務室へと駆け出していた。

 「ハミルトン中将の怪我の具合は!?」  「あ・・・」

 そして、ロイは蹴破らんばかりの勢いで医務室の扉を開け放つと、軍医に向って声をかけた・・・つもりだった。しかし次の瞬間ロイの視界に、スラリとした白い脚とその足首に巻かれた更に白い包帯とが、飛び込んできた。
 丁度その時、医務室の簡易ベッドに脚を投げ出すようにして腰掛けていたイシス・ハミルトン中将が身に着けていたのは、丈の短い白い検査着だけであり、その僅かにはだけた裾から覗く細い脚の白さに、ロイは眩暈にも似たモノを覚えた。
 
 「大佐・・・心配してくれてるらしいのに悪いけど、一応ノックなんかをしてくれると次は助かるんだけど?」
 イシスはそう言ってさり気なく検査着の裾を直しながら、曖昧な笑みをその口許に浮かべた。
 「失礼しました、中将!! ――― それで・・・お怪我の方は?」
 イシスのその仕種に、ロイは僅かに頬に朱を上らせると視線をイシスの脚から逸らした。そして、もごもごと口の中で謝罪の言葉を告げながら、それでもイシスの負傷の程度を確認してきた。
 「ん~・・・別に大した事はないけど、脇腹をちょっとやられたのと、足を挫いたぐらい・・・かな?」イシスが小首を傾げながらそこまで言うと、その答えにハッとした様子で顔色を変えたロイに気付いたのか慌てて手を振りながら弁解を始めた。「・・・ああっ、大佐!! 勘違いするなよ!? 脇腹の方は衝撃による打撲みたいなモノだし、足なんか唯の捻挫なんだから! いや、だからっ!ホ、ホント、そんなに心配するなって!!」
 そう言い繕うイシスの様子に、しかしロイはその表情に懸念の色を浮かべ、一歩前へと歩を進めた。
 すると・・・
 「イシス中将の言う通りだ、大佐。」
 今にもイシスの傍に突進して行きそうな勢いのロイの気勢を削ぐかの様に ――― はじめからベッドの脇に控えていたが、ロイの視界にはまったく入っていなかった ――― 冷ややかなトリヴァー中佐の声が状況を補足しはじめた。
 「 ――― しかも、その唯の捻挫が悪化した原因は、中将が挫いた足を顧みずに暴れた所為ですから、大佐のご心配には及びません。」
 「・・・ジェシー、それって一体誰の所為だと・・・」
 副官のそのあんまりな答えに、イシスが大きくため息を吐く。
 元を正せばイシスが『暴れた』と云うのも、トリヴァーのお仕置き発言に抵抗するためのものであり、彼女にとってみればそれは充分不可抗力に値した。
 「 ――― 大体、そう言いながら襲撃者の半数以上を仕留めたのはアークだし、残りはジーンとお前の二人で戦闘不能にしただろ? 言っておくが、私はちゃんとその間は大人しく傍観していたぞ。」
 憮然とした表情で襲撃の間の様子をそう表現したイシスは、それに最後の一人の始末はハボック少尉にとられたしな、と言って憂鬱そうに顔を顰めると話を締め括った。
 それは暗に、自分の見せ場を奪っておいて、捻挫が悪化した原因を私の所為にして誤魔化すな、と言っている様にロイには聞こえた。
 故に・・・続きを語るイシスの口調は、かなり辛辣だった。
 「それより、ジェシー。いつまでもそこに突っ立ってないで、さっさと宿舎から私の制服の予備を持ってきてくれ。」
 ぞんざいな口調で、副官に不機嫌そうにそう命令したイシスを、ロイはやや唖然とした様子で見遣った。しかし、命令された副官は僅かに肩を竦めると、何故だか素直に医務室を後にした。

 「まぁ、足を捻挫したのが視察終了間際で助かったよ。」
 副官が医務室を後にすると、イシスは足首に巻かれた包帯へと手を伸ばし、それに触れると思わず眉を顰めた。
 「ハミルトン中将。本当に足の具合の方は大丈夫なのですか?」
 ロイのその半信半疑な口調に、イシスは『君は本当に心配性だなぁ?』と、云った様子で肩を竦めてみせた。
 「ああ、ここのドクターからは患部に加重をかけるな、と言われただけだよ。」安心させる様にそう告げるイシスの表情が、そこで僅かに曇った。「 ――― しかしこの場合の問題は寧ろ、松葉杖を調達するのに時間が掛かりそうだ、と云う事ぐらいかな?」
 丁度手持ちの歩行補助具は修理に出してしまった、と言う軍医の言葉を思い出し、それがないとまた副官に抱え上げられながら運ばれていく事になりかねないからな・・・と、イシスがため息を吐く。
 「それとも、君が松葉杖を『錬成』してくれるかい?」
 そして、ふと気が付いた様にロイの方へと視線を寄越すと、翠の双眸に僅かな期待の色を込め、上目使いにそう問いかけてきた。
 「・・・申し訳ありません、中将。生憎、私の属性は『火』で、樹との相性はそれほど良くないものですから・・・」自分を見上げてくる、その深い碧瞳の色に圧倒されながらも、ロイは困った様に小さく咳払いをすると、降参です、と云った様子で手を挙げた。それから思い出したように言葉を継ぐ。「どうせなら、トリヴァー中佐に頼んでみては?」
 「う~ん、やっぱり大佐でもダメか。」
 ロイの申し出に、イシスが仕方がないか、と云った様子で顔を顰めながらもそう呟くのが聞こえ、ロイはおやっ?とした様子で再度問いかけた。
 「 ―――『大佐でも』と言う事は?」
 「ああ。ジェシーには、もう頼んではみたけど・・・そ~ゆ~のは、もともと得意じゃないらしい。」
 得意云々のあと、イシスが「まぁ、軍人なんてモノは『創造』より『破壊』の方が得意なのは、慣れの所為だな?」と云った不穏な事を、あっさりとした様子で呟くのが聞こえたが、ロイは敢えてその呟きを無視し話題を切り替えた。
 「では、中佐の属性は?」
 「う~ん、ジェシーの属性かぁ。まぁ、どちらかと言えば『気』、かな? あいつなりに謙遜しているが『土』の方ともそれなりに相性はいいみたいだけど。」
 そう答えを返すイシスに、ロイはトリヴァー中佐が二回に渉って錬成した光景を思い出し、成る程、と云った様子で頷いた。それから、思い出したように尋ねる。
 「中将ご自身で『錬成』はなさらないのですか?」
 ロイのその提案に、イシスの表情が強張った。当然その返事にも棘が混じる。
 「・・・言っただろ、大佐? 私は『錬金術師』じゃないって。」
 「しかし、使われる事は可能なのでしょう?」
 「・・・だから『嫌い』なんだって・・・」
 笑顔で畳み掛けようなロイの問いかけに、イシスはロイが自分から何かを聞き出そうとしているらしい、とあたりを付け素直にソレに乗る事にした。まぁ、この際自分側にロイ・マスタングと云う存在を取り込んでおくのも、後々の弊害を排除する上で便利であろう、と云う打算が働いたのは否めなかった。
 「・・・まぁ、諜報部時代の基礎訓練では色々と遣らされて、四大元素の全てで相性は悪くない、と言われた事はあるけど・・・」  

 『四大元素の全てで相性は悪くない』・・・そうサラリと―――『錬金術』に於いても珍しい、相反する性質を持った元素が扱える可能性を示唆してロイの顔色を失わせたイシスは、しかしその後に尚も爆弾発言を投下した。

 「 ――― それに、元々【うち】の家系は『水』とか『流動体』系列を扱う方が得意だし・・・」

 その、イシスが告げた言葉の意味を、ロイが理解するにはかなりの時間が必要だった。

 「・・・ちゅ、中将・・・? その、私は『ハミルトン』家が、錬金術師の家系とは存じ上げておりませんでしたが・・・?」
 「だろうね。私も伯父の所は、代々軍人の家系だと聞かされてたし。」
 上ずった口調でそう尋ねたロイに、彼女はきょとんとした表情で首を傾げると、あっさりとした様子でロイの質問を肯定した。
 「・・・ハミルトン中将・・・?」
 「イシスでいいよ、大佐。『ハミルトン』と・・・その姓で呼ばれるの、実はあまり好きじゃないから。『ハミルトン』って姓のおかげで、尉官クラスはまだ良かったけど、佐官クラスにもなるとこの外見も相まって能力を邪推されたり、だいぶ嫌な思いもしたからな。 実力もないのに家柄で昇進した・・・そう面と向って言われた事もある。それが嫌だから、可能な限りの権限内では『イシス』と、そう呼ばせる様にしているんだ。」だから部下はみんな私の事を『イシス中将』って、呼んでるだろ? と、そう言って彼女は肩を竦めてみせた。「 ――― それにね、マスタング大佐。調べれば直ぐに分かる事だし、隠す必要もないから言うけど。私は養子なんだ・・・『ハミルトン』家のね。」
 ――― 上層部は無論この事実を知っているし、同期だった連中の中には翳で『ハミルトン』家は後継者も絶えた名ばかりの名門だ、と言って憚らない奴も居る。まぁ、やっかみもあるけど・・・この名門志向は軍の困った所だよ。
 そう新たな秘密を暴露したイシスが、如何にも呆れた、と云った表情を作りながら、そのくせ楽しそうに笑った。

 「中将・・・私などに、そんなに色々とご自分の内情を暴露しても宜しいのですか?」
 「ん~? なに、大佐。君はさっきの事やこの程度の情報で、私を強請れると本気で思っているのかな?」
 ロイの揶揄する様な声音に、イシスもまた声のトーンを僅かに落としながら、ロイの方へと身を乗り出す。
 「!?・・・そんなことは・・・!!」
 「この際だからハッキリ言うけどね、大佐。『いざと云う時に君の口を封じる』ぐらいの事は、私にしてみれば、そんなに難しい事じゃあない。それに・・・ねぇ、大佐・・・今だって私は、充分君の口を塞げるよ?」

 それから彼女は、狼狽した色を浮かべるロイの軍服の襟を右手で掴んで自分の方へと引き寄せると、キラキラと輝く翠瞳に悪戯めいた光を浮かべながら、ロイの顔を至近距離から覗き込む様にして見据えた。
 そして、いつの間にかもう片方の手にしていたナイフで以って、イシスのその吸い込まれそうな翠瞳を目前にして声もなく固まるロイの上着のボタンをゆっくりと切り裂いた。
 カツン、と云う微かな音を残し、医務室の床を金色のボタンがコロコロと転がっていく。そして ――― 次の瞬間、ロイは文字通りイシスによってその口を塞がれていた。
 ただし、ロイ・マスタングにとって幸運だった事は、その『口封じ』の道具がナイフではなかった、と云うことだった。

 こうして、驚きの連続であった長い一日は終わりを告げた。
 そして、その長い一日を振り返ったロイが一日の締め括りとしてイシスとの接触を思い出した時、それはそれで悪くはなかったかもしれない、と思いつつどうしても緩んでしまう口許を隠し、しかしあそこで自分の理性が飛ばなかったのは本当に幸運だった・・・と、そう思ったかどうかは定かではない。
                  

       『西方の魔女』 第十章 ~END OF THE DAY~ 終  2004.11.24. 脱稿


<あとがき>と云う名の言い訳

はい、如何だったでしょうか?
やっぱり『口封じ』と云ったらコレでしょう?
さて、さて、こうして長~い1日は終わりを告げた訳で...役得だったね、大佐。
まぁ、でもコレには実はおまけがあったりします(笑)。
ええ、こんな美味しいままで終わる訳がないじゃないですか♪
しかし...当初の予定から、かなりズレてきたなぁ...(汗)
因みに第十一章は当初、番外編としてアップしていたのですが...一応、今後の展開に大きく関与してくる内容と位置づけられるので、本編に組み込むことにしました。
でも、その本編更新前に第十一章関連の番外編をアップすることになりそうです。
あ~、それでですね...一応、ちょこっとブレダ少尉が壊れることになりそうですが、その辺はかる~く流して欲しいかな?
それでは、最後に本編第十章の「おまけ」を公開しておきますね?


やっぱり 『アレ』 は反則だと思うわ

『西方の魔女』 ~ END OF THE DAY:おまけ ~

 リザはその時、自分が目にした光景に、思わず息を呑んだ。
 彼女の視界には、丈の短い白い検査着とその裾から覗く白い足、そして簡易ベッドの上に投げ出された真っ白な包帯が巻かれた足首 ――― それしか入ってこなかった。
 そう、肝心の中将の姿は、自分の上司であるマスタング大佐の青い軍服の背中に隠れて、半分も見えない。しかも、その中将に覆いかぶさるようにして屈みこんでいる、彼女の上司の軍服の上着は前がはだけており ―――

 「っ!・・・・大佐!!」
 彼女は咄嗟に銃を構えると、驚いて振り返ろうとする上司の頭の近くに警告の為の一発を撃ち込み、その音に焦って隙を見せた大佐を軽々と投げ飛ばした。
 「見損ないましたよ、大佐! 怪我して身動きも儘ならない中将に、貴方という人は・・・!!」
 リザは視界の隅に、背後に庇った中将の足首に巻かれた痛々しい包帯を目に入れながら、投げられたままの姿勢で床に座り込み、唖然とした様子で自分を見上げてくる上司に銃を付きつけながら、そう決め付ける。

 「・・・あの~、ホークアイ中尉・・・?」
 その緊迫した空気が漂う中、背後から自分を呼ぶ微かに震える声を耳にした瞬間、リザはハッとして睨みつけていた大佐から視線を逸らし、声の主を心配そうに振り返った。
 「大丈夫ですか、ハミルトン中将?」
 するとリザの目に、困った様な笑みを浮かべながら、上目使いに自分を見上げてくる中将の姿が映った。その、自分よりも20は年上の筈の上官の、守って遣りたくなる様な姿を目にした瞬間、自然とリザの口許に優しい笑みが浮かぶ。しかし ―――

 「凄く言い難いのだけれども・・・いま、襲ってたの・・・大佐じゃなくて、私の方だから・・・」

 ――― 僅かに頬を染めながら、だから大佐は悪くないと思うよ? と・・・手にしていたナイフと、証拠の一つとして隅に転がったままの上着のボタンとを指し示しながら、申し訳なさそうにそう告げる中将の言葉にリザの口許に浮かんでいた筈の笑みが強張っていく。

 「もしかして・・・お邪魔でしたか?」

 気が付けば、リザは思わず恐る恐るそう尋ねていた。その問いかけに、中将はキョトンとした表情を浮べたまま暫くリザの顔を眺めいていたが・・・やがて、思い切り吹き出した。
 涙を浮べながら大笑いしている中将の姿に、リザは思わず医務室の床に座り込んだままの大佐と顔を見合わせる。
 「・・・ご、ごめん、ホークアイ中尉。笑い過ぎた。」暫くして、漸く笑いを収めたハミルトン中将が目元に溜まったままの涙を拭いながら、リザに向って謝罪する。「 ――― でも今の中尉の反応で、普段の大佐が如何に、こと女性の扱いに関しては部下からの信用がないのか、分かった気がするよ。」
 ニッコリ笑って、そう告げたイシス・ハミルトン中将は、軍服を着ていない所為もあるが、やはり同性であるリザから見ても、反則的なまでに愛らしかった。

☆   ★   ☆   ★   ☆   ★   ☆   ★   ☆   ★   ☆

 「中尉、さっきは助かった。礼を言う。ありがとう。」
 その後、リザと二人きりになると、大佐が手で顔を隠すようにしながらも、そう礼を述べてきた。
 「はぁ? 勘違いをしていたのは私の方ですから、大佐から文句を言われる事はあっても、お礼を言われる筋合いはないと思いますが?」
 予想外の事態に、リザは思わず目を見張るとマジマジと大佐を見つめた。
 「・・・いや、あのまま君が来てくれていなかったら、その・・・私の理性がもたなかったと思う。」
 それはそれで拙い事になるだろ?と、そう言った大佐は一体何を思い出したのか、耳まで真っ赤にして項垂れていた。
 リザはその様子にやや呆れながらも、先程の中将の姿を思い出し・・・まぁ、大佐のこの反応も分からない事ではない・・・そう思って苦笑を零した。

             『西方の魔女』 ~END OT THE DAY : おまけ~ 終 2004.11.24. 脱稿


と、まぁこんな感じで...(笑)

   http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=isisu

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2007-11-01 11:01  nice!(0)  コメント(0) 
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