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『鋼』でヒュハボ ~ Back to back ~ ヒューズサイド [二次創作SS]

こちらは、以前アップした事のある『鋼』でヒュハボな『Back to back』 ~ 護るべき者 ~ のヒューズ視点のお話です。
まぁ、そんなに大きなストーリー変化はないのですが、一応華月の捏造設定を垣間見ることは可能かな?

興味のある方は、例の如く『続きを読む』からどうぞ♪



 愛しい・・・と、手に入れたい・・・と ――― そう思った。
 そして、その想いをなかった事にする・・・そんな事は、馬鹿げている。

 しかし同時にそれは、いま腕の中にある確かな存在を失う事に繋がるかもしれない ―――
 そう思うと、最後の一歩を踏み出す勇気が急速に萎んでいくのが分かった。 

 だから自分は彼にこう告げる事しかできなかった。

 「今回はお前のお陰で助かった・・・だがいいか、心配したんだからな?・・・だからもう、俺のためにあんな無茶はするな。」

 と・・・

 欺瞞だな ――― そう思う・・・しかし、自分は恐れていた。
 彼を・・・そう、ジャン・ハボックと云う存在を失う事を・・・
 自分は今この瞬間、何よりも一番恐れていた ―――



Back to back ~ ヒューズサイド ~




 「危ない、中佐!!」

 ヒューズがその、いつになく慌てた様なハボックの声と同時に、自分を庇う様に覆い被さって来た温もりを認識した瞬間・・・ビシャっと云う厭な音と伴に、彼の目の前に紅い花が咲いた。

 「ハボック!?」

 ヒューズにはそれが、自分を庇って被弾したハボックの血である事は直ぐに分かった・・・そう、今もしハボックが身を挺していなければ自分は確実に頭を撃ち抜かれていただろう。
 僅かな逡巡の後、自分に許可を求めるハボックの声とベルトに挿していたナイフにその手が伸びるのを、ヒューズは妙に醒めた目で見守っていた。
 そして、ハボックの手から振り向き様に放たれたナイフは、次の瞬間には・・・2人を狙い撃ちしようとしていた男の額から生えていた。

 ヒューズは思わず口許から零れかけた驚愕の呻きを無理矢理飲み下し、ハボックの肩口から滴り落ちる血に濡れた右手とそこに握られたままの銃とを凝視した。
 そして次に、今まさにナイフを投じたであろう左手を見遣ってから・・・確信する。

こいつは利き腕である右ではなく左を使った・・・その上での確実な致命傷への一撃。
と云う事は、ハボックは諜報部での特殊訓練、またはそれに準じた手錬を持つ者からの指導を受けた事がある、と云う訳だ。
だが一体いつ?誰から?

 しかしヒューズのその思索は、目の前で崩折れかけるハボックの姿に中断した。

 「ハボック!!」ヒューズが咄嗟に伸ばした腕の中に、ハボックのぐったりとした身体が収まる。「少尉!おい、大丈夫か!?」

 反応のないその身体に、我ながら信じられないほどの不安と焦燥に駆られもう一度呼びかける・・・と、血に濡れて焦燥したうえ、疲労のためかやつれた表情のハボックの閉じられた瞳がゆっくりと開かれ ――― その深い蒼瞳が心配そうにハボックを覗き込む自分を写した途端・・・華が咲いたような笑みがその顔に広がった。

 「・・・中佐は・・無事、みたいっスね?」

 腕に抱いたハボックが、穏やかで安心しきった様にその笑みを深め、吐息と共に「・・・良かった・・・」と、そう呟くのをヒューズは奇妙なまでの既知感と共に見遣った。
 しかし次の瞬間、腕の中のハボックがゆっくりと身じろぎすると、自分の手を振り払うようにして立ちあがる。

 「!?・・・ハボック!!」

 満身創痍 ――― そう言っても過言ではないだろうハボックの、そのふらつく様な後ろ姿にヒューズは戸惑う様に手を伸ばしかけ、明らかな拒絶に近い雰囲気を纏った背中にハタと動きを止めた。

 ――― まだ、退けない。何故ならば戦いはまだ終わってはいないから・・・今にもそんな声が聞こえそうなその後ろ姿には、過って自分がその背に庇った『護るべき存在』だった少年の面影はない。
 そこにあるのは『自らが護る』と云った明確な意志・・・その潔いまでの意志にヒューズは息を呑む。

 が、その時・・・戦況は一変した。


 周囲に轟く怒声と、銃声・・・そして ―――

 「ぐずぐずするな!今度こそ『赤の師団』を一網打尽にするぞ!!」

 ――― 親友の勇ましいまでの掛け声。


 その声に、やっと来たか ――― と、ヒューズが思ったのも束の間・・・その親友の声が合図であったかの様に、今まで明確な意志を持ってヒューズの前に立ち塞がっていたハボックの背中が揺らぎ・・・
 再び腕の中に納まったその身体は、今まで目の前に立ち塞がっていた、とは思えぬほど脆く儚い・・・だからヒューズはいつもの様にその額にそっと口付けを落す。
 と・・・ハボックの顔に、無垢な幼子の様な笑みが浮かび、その口許からは安心しきった様な吐息が漏れた。
 それは ――― 先程までの拒絶さえ含んだ背中とはあまりにもかけ離れていた上、自分を信じきった無防備なそれであったが故に ――― ヒューズの心を鷲掴みにする。
 そしてヒューズは自分でもよく分からない感情を抱えたまま、ハボックの穏やかな笑みを刻むその口許に自分のそれを重ねていた。


 ――― 今度は自分に護らせて欲しい。

 腕の中で、激情のままに告げられた想いに、ヒューズの目頭が熱くなる・・・ 『 護りたい 』 と云うその想いは、ヒューズにも覚えがあった。

 ――― ああ、そうだ。やっと思い出した。

 その心の奥底に、いままで鉄壁の鎧と共に仕舞い込んで来た 『 護るべき存在 』 であった少年 ――― そう・・・いま正に想いの全てを吐露し、縋る様にして自分の全てを曝け出してくるハボックの姿に ――― 『あの時』 の少年の面影とが重なる。
 それと同時に 『 護りたい 』 と・・・そう告げるハボックの姿に 『 必ず護る 』 と約束した過っての自分の姿とが重なった。

 ああ、そうか・・・絶望と希望、その相反する想いをその裡に秘め、傷つき、今にも泣き出しそうな蒼瞳と純粋な恐怖を浮かべた表情のまま、それでも縋る様に自分を見上げて来た少年・・・

 ――― 荒涼とした大地と硝煙の中に巻き込まれた 『 罪もない無垢な存在 』 ―――

 それ故に、正義と云う名の大義のため銃をとり、殺戮を繰り返して来たはずの自分に、これから創るべき理想の国家とそのために進むべき道がどうあるべきかを、その身を持って指し示してくれた 『 護るべき存在 』 ――― それが、彼ではなかったか?

 「・・・悪かった。」

 特に意識した訳ではなく、思わず口をついて出た自分の謝罪の言葉に苦笑しつつ、ヒューズはそっとハボックの金色の髪を撫でると、その今にも零れ落ちそうな涙を溜めた蒼瞳を覗き込んだ。
 途端に赤くなり、慌てて視線を逸らそうとするハボックのその頬を、ヒューズは両手で包み込むようにして捕まえる。

 「お前がお前なりのやり方で、俺たちを護ろうとしてくれているって事を忘れてたよ。」

 ありがとな・・・そう告げた後、もう遠慮する必要はないよな?と、嘗て自分が 『 護る 』 と決めた少年の面影に、そう心の中で許可を求めてから、ヒューズはハボックの唇に自分のそれをそっと重ねた。
 そしてどうやら羞恥心よりも先に、驚きのほうが勝っていたらしいハボックの唖然とした表情に目を遣ると ――― ああ、やはり可愛いな ――― 等と思いつつヒューズは片目を瞑って見せる。

 「俺を護ろうとしてくれる程の相手なら・・・こども扱いする訳にもいかんだろ?」
 「あ・・・///★」

 ヒューズが見守る中、驚きでフリーズしていたらしいハボックの思考が漸く働き始めたのだろう。見る見るうちにその頬がカーッと紅潮していく。そして、もう既に反射的になっているらしい様子で俯いて自分から身を引くハボックの姿を見遣りながら ――― こりゃ~長く掛かりそうだ ――― と、ヒューズは忍び笑いを漏らした。
 
 しかし、そんなジャン・ハボックと云う存在を手に入れることを諦める必要は、もう自分にはないらしい。
 失うかもしれない、そう思って躊躇っていた最後の一歩を踏み出すその勇気を与えてくれた存在を、ヒューズは愛おし気に見つめる。
 そう・・・嘗ては 『 護るべき存在 』 だけであった 『あの時』 の少年は、いまこの瞬間には 『 理想のために共に闘う存在 』 となって自分の傍にいる ――― ならば、これからも共に歩んでいく事は約束された様なものではないか?それに・・・

 ――― まあ時間は・・・十分にあるから、な?



 そう、その時の自分は、それが余りにも儚い 『 いつか破られる約束 』 になろうとは、夢にも思っていなかった ―――


    
         『 Back to back ~ヒューズサイド~ 』   END.   2004.7.4. 脱稿




『あとがき』と云う名の言い訳


え~と、何故だか急に書きたくなって書いてしまいました。
『Back to back ~護るべき者~』のヒューズ視点です。
脱稿日を見て、ああ、もう3年以上も前の作品なのだなぁ・・・と感慨もひとしおです。
やっぱり、萌えている時が一番スムーズにネタがでるものなんですね...今でも『鋼』は大好きな作品なのですが、昔ほどのめり込めないのは、周りの環境もあるのかしら?
こんな感じの『彼ら』が見たい、という感想でもあれば、書けるのだろうか?
やっぱ、イマジネーションは必要よね!
と、云うことで・・・誰か、素敵なネタを下さい(爆)!!

   http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=isisu


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   おまけのsssが表示されます。2月19日おまけSSS更新しました♪


2007-12-06 16:00  nice!(0)  コメント(0) 

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