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『西方の魔女』 番外編 ~ Over The Game ~ [『西方の魔女』]

『西方の魔女』2月の更新は、前回予告した通り、第十一章関連の番外編となっております。
ええ、予告通り、ちょこっとブレダ少尉が壊れております。
まぁ華月のぬるい描写なら、全然問題にもなりませんが...興味のある方は例の如く、続きを読むからどうぞ♪



時として、頭のいい人間ほど簡単に足元を掬われ易い・・・と云う事実を

貴方はご存知だろうか?

『西方の魔女』 番外編 ~ Over The Game ~


――― それは西方司令部の面々が視察を終了する前日の酒宴での出来事 ―――


 「フッフッフッ・・・やっと捕まえたぞ、准尉! さぁ 『あの』 つづきを始めようぜ♪」
 「ブレダ少尉・・・(汗)こんなところにまで 『それ』 を持ち込んだんですか?」
 ダイアンは目の前に居る感極まった様子の、直接的にではないものの階級的には上官に当たる相手を見遣りながら、やや呆れたように目を見張った。
 「当然だ!!」
 しかしそれに答えるブレダは、得意そうに胸を張ると、背後にある将棋盤の載った机を示した。
 (・・・うわぁ~、なんだかやる気満々ですねぇ・・・>汗?)

 その夜、10日間に亘る東方司令部視察が終了した西方司令部の面々の労をねぎらう酒宴が、ロイ・マスタング大佐の粋な計らいによって、とある酒場を会場として執り行われていた。
 そしてその会場に於いて、西方司令部所属フィリップ・ダイアン准尉は、いま正にハイマンス・ブレダ少尉に何時ぞやの 『将棋対決』 のつづきを迫られていた。

 確かに 『あの』 対決から以降というもの、昼休みともなればダイアンはグラマン将軍のチェスの相手として借り出され、全くと言ってよいほどブレダとの接触はなかった。
 時折ダイアンは、敷地内の廊下や食堂、と云った共有スペースでブレダ少尉の姿を見かけることはあったが、勿論話す機会など皆無に等しかった。
 噂では彼との 『対決』 のつづきを今か今かと待ち構え、そのストレス発散のための雄叫びは周囲をかなり動揺させていたらしい。
 まぁダイアンにした所で、そんな噂を聞けば嬉しくない、と云う訳では決してなかった。
 なにしろ自分同等、或いはそれ以上の戦略家としての才を持ち合わせた人物に出会えることは、中央でも滅多には体験できることではなかったからだ。  
 だからこうして半ば呆れながらも、ダイアンのその口許には薄っすらと笑みが刻まれてさえいたのだ。
 しかし・・・

 「畜生! どうしてこう云う肝心な時に限って、ファルマンの奴はここに居ね~んだ!?」

 ブレダがそう叫ぶのも無理はなかった。
 その夜、酒宴の席にはブレダの 『探し人』 であるファルマン准尉の姿はなかった。何故なら、彼はとある資料を探すべく大佐自らの命令で中央司令部にお遣いに出されていたからであり、ブレダがそれを知ったのはつい先程、それもダイアン准尉を漸く引き留め、いざ勝負を始めようかと云った丁度その時だったからである。
 漸く機会を手に入れたと云うのに、肝心の勝負の鍵を握る棋譜番が不在では勝負がつけられないじゃないか~~~!? ・・・と髪を掻き毟らんばかりの様子で困り果てるブレダの姿を、ダイアンはクツクツと笑いを堪えながら見遣った。
 その時のダイアンは、胸の奥がぽ~っと温まるような、そんな穏やかな感情が生まれてくるのを不思議な思いで自覚していた。しかもその表情には、まったく仕方がない人だなぁ? と云った感じの微笑みさえもが浮かんでくる。そして・・・
 「いいですよ、少尉。自分が並べます♪」
 と・・・気が付けば、そんな言葉が口をついて出ていた。
 「へっ?」
 ダイアンのその申し出を聞いた途端、ブレダがびっくりしたように彼の方を振り返った。その表情に、ダイアンは自分の口許が新たな笑みを刻むのを意識する。
 「ファルマン准尉だけが飛び抜けて記憶力がいい・・・って訳じゃありませんからね?」
 ダイアンは何故だか気分が高揚していくのを自覚しながらそう言うと、盤上に正確に駒を並べ始めた。
 ブレダは唖然としながら、1週間以上も前の 『将棋対決』 第四戦の駒の配置を正確に、しかも最後まで迷うことなく並べていくダイアン准尉の手元を見つめた。
 「・・・なんでも記憶する。それは自分の特技の一つでもあるんですよ♪」
 目の前の紅茶色の色彩を纏った准尉は、最後まで正確に駒を並べ終えるとブレダに向って笑いかけながら自分の秘密をそう暴露した。

☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

 やがて、1週間ぶりの対局が実現した。
 まずはブレダが、躊躇うことなく 『封じ手』 を打った。すると次の瞬間、相手もまた一瞬の迷いや躊躇いも見せることなく、『封じ手』 に対しその場で考え得る一番の手を打ってきた。
 その速さに、ブレダが思わず驚愕して対局者を見遣れば、相手はクスクスと楽しそうに笑ってみせると種明かしを始めた。
 「あの局面から、少尉が打って来る筈の最高の一手は、自分が考えられる限りでも全部で三手。その場合に於ける切り返しとして尤も適した一手・・・それを自分もあれからずっと考えてきましたから。」
 ―――― ですから、この勝負を楽しみにしていたのは、別に少尉だけじゃないんですよ?
 そう種明かしをした後で、目の前の最高の好敵手はブレダの背に震えが走るような綺麗な笑みをその顔に浮かべた。
 その後、勝負は結局のところ開始から2時間以上かけて漸く終局を迎えた。
 そして・・・勝者は常に一人だけ。

 「またやりたいと思ってる。これからもよろしくな、准尉。」
 そう言ってブレダは、やっぱり敵いませんでしたね? と、ため息混じりに呟いた後で自分の負けを認めた好敵手に向って手を差し伸べた。
 「こちらこそ、少尉♪」
 ダイアン准尉はその手を握り返すと同時に、邪気のない心からの笑顔で応えた。その極上の笑みを浮かべるダイアンから、ブレダは慌てて視線を逸らす。
 「しっかし・・・あんま、やりて~やりて~、って言ってたもんだから、すっかり周りから欲求不満なんじゃね~かと変に勘違いされてよ~(汗)。」
 そして、恥ずかし紛れにガシガシと頭を掻きながらそう嘯いた。
 「勘違い?・・・それって、どう云った種類の勘違いなんですか?」
 するとダイアン准尉が、不思議そうに首を傾げながらそう問い返してきた。そこには勿論、悪意もからかいの色も含まれてはいなかった。
 「・・・言えるか/// だいたい・・・」
 それ故にブレダは却って困惑すると、憮然とした表情のままそう言葉を濁し、話題を変えようと再び口を開きかけた丁度その時・・・
 「ああ、成る程♪・・・こ~ゆ~感じのですね?」
 と・・・ダイアン准尉が如何にも今気が付きました、と云った様子でポンと手を打つと、スッとブレダの方へ一歩近付き・・・次の瞬間、ブレダの唇に軽く羽根が触れる様な感触が舞い落ちた。

 ブレダは自分の身に一体何が起きたのかを理解できずに、思わず茫然として目の前の准尉を凝視した。
 僅かに触れる程度の接触を、ブレダの唇に残していった当の准尉は、やりすぎたかな? と云った様子で首を傾げながら、それこそ本当に綺麗な微笑をその口許に浮かべてブレダを見ていた。
 「うっ・・・( ダメだ! 我慢できねー>汗 )!!!???」
 その時、ブチン・・・と、頭の中で理性の糸が切れる音をブレダは確かに聞いた。
 そして・・・ブレダは本能の赴くまま、手に入れるべきものに躊躇わず手を伸ばしていた。

 ダイアンにしてみれば、『それ』 は唯の気まぐれであり、ちょっとしたスキンシップの延長線でしかなかったのだが・・・どうやら、やりすぎたらしい。
 目の前のブレダ少尉の反応からそう判断を下すと、ダイアンは困った事になったかな? と云った様子で苦笑した・・・つもりだった。
 しかし、相手は自分の笑みを、そうは取らなかったらしい。
 そして・・・急にグイッと、ダイアンはブレダに腕を掴まれ・・・あとは慣性の法則に従う結果となった。

 「うわっ!? し、少尉! な、なに・・・ん~~~×××★£*♂○▽◇△※//////!!!???」

 ダイアンは何処か遠くの方で、自分の慌てたようなその声を耳にしながら、しかしその後は何も考えられなくなっていった。
 ――― 策士、策に溺れる・・・って、言葉の意味を知ってるかな? 准尉♪

☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

 足早に、しかも頬をやや紅潮させながら、ズンズンともの凄い勢いでダイアン准尉が歩いてくるのを目にした時、ソール中尉はヘインズ少尉が注いだグラスの中の発泡酒を飲み干そうとして・・・手を止めた。
 「・・・どうしたんだ、フィル? 顔が赤いぞ?」
 「な・・・なんでもありませんっ!」
 ――― あの~、それってかなり説得力ないんですけど?

 普段、滅多な事では動揺しない( そう、騙されてはいけない。食堂での一件にしても、こいつは見事な仮面を被ったまま、芝居をするのを忘れていなかった>苦笑。)フィリップ・ダイアン准尉が、素直な反応を返した後、脇目も振らずにトイレに駆け込むのを、ソール中尉は驚いて見送った。
 自然体を装いながらも、その実、彼の本質を理解している筈の自分達でさえも騙されかねない仮面を常に被り、本来なら素直に感情すら読ませない相手が、自分の問いかけに素直な反応を返してきたのだ・・・驚きもする。

 「フフン♪ ありゃ~ぜって~なにかあったな♪」
 「酒に酔ってるだけ・・・じゃないのか?」ソール中尉は唖然とした様子で、ダイアン准尉が去って行った方向を見遣っていたが、やがて相棒でもあるヘインズ少尉の方を振り返ると首を傾げた。「・・・しかもお前、なんか嬉しそうだな、アーク?」
 「えっ? そうか~?( そりゃ~、ライバルが減るのは好都合だもんな♪ )」
 問われた相棒の方は・・・と云えば、何やら底が見えないニヤニヤ笑いをその口許に浮かべながら、ひどく機嫌が良さそうに見えた。
 どうも気になる・・・と、その相棒の反応に、何かを企んでいるのではないか? と疑いの目を向けながらも彼はグラスの中味を飲み干していった。

☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

 ハボックは将棋の道具一式を脇に抱えながら、踊るような足取りで前を歩く同僚に気が付くと、これで暫く司令部内も静かになるな、と考えつつ声をかけた。
 「おっ、ブレダ! なんか機嫌いいな、お前?」
 「あ~? ハボックか。フッフッフッ、ま~な♪」
 ハボックの声に振り返った同僚は、上機嫌で・・・ヤニさがっていた。ハボックはその表情を目にして、よほど嬉しい結果に落ち着いたんだな? と、我が事のように喜んだ。
 「勝負・・・ついたのか? まぁ、その様子じゃ聞くまでもないがお前が勝ったんだな。」
 「あったりめ~だろ! ――― しかも5分間、じっくり堪能させて貰ったぜ♪」
 「・・・5分間・・・???」
 ――― そんなに早く決着が着いたのか?
 と、ハボックが思ったとしても無理はない。しかしそんな短期決戦の割には、ブレダが随分と嬉しそうなのが気にかかる。
 「じゃ~な、ハボック♪」
 ブレダは不思議そうに首を傾げたまま自分を見送るハボックに向って手を振ると、その場を足取りも軽く後にした。

 まぁ、多少は脈あり、ってぇ風に自惚れてもいいよな? ――― なにせ本当に嫌なら、俺を振り切るなんてことは『あいつ』 にとっちゃ~初日同様、簡単だったろ~からよ♪

 ウキウキとした様子で鼻歌混じりに歩み去るブレダの・・・しかし春はまだ遠い。

          『西方の魔女』 番外編 ~ Over The Game ~ 終 2004.10.02. 脱稿



               <なかがき>と云う名の言い訳

ああ、とうとうやっちゃったよ、華月...(汗)
さて、と...色々とご意見の分かれるところだと思いますが如何だったでしょうか?
原作キャラとオリキャラとの絡みは、どんな形であれドキドキしますね。
一応『西方の魔女』では、今後は上記CP(?)前提で捏造未来編に向け爆走中です(爆)。
これからアップしていく本編では、今度は大佐が暴走予定ですが、生暖かい目で見守って頂ければ幸いです(笑)。

 http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=isisu

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   2月19日Web拍手、更新しました♪ ランダム表示で3種です(^▽^) 


2007-12-25 16:16  nice!(0)  コメント(0) 
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