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『鋼』でヒュハボ 08’バレンタイン特別企画 [二次創作SS]

昨年に引き続き、やって来ました。バレンタイン特別企画です。
しかし申し訳ないことに、今年は新作をアップする気力がありません。
内容的にも、バレンタイン?と云ったニュアンスを含んだ捏造設定を根幹にした別時間軸な感じの作品です。ええ、前回は『時計』でしたが、今回は『ジッポ』です。
例の如く興味のある方は、続きを読む、からどうぞ♪


      遠い日の記憶と、新しく生み出される想い出・・・

           その二つの境界線で揺れる想いがあると、あなたは知っていますか?

 

         Memory ~ Remenber me ...~

 

 その日、司令室に入ったロイ・マスタングは、机の上に頬杖をつきタバコを燻らす少尉を見遣やりちょっとした違和感に、おやっと表情を変えた。
 件の少尉は、目の前にうず高く積まれた資料が目に入らない様子でぼんやりとしている。
 ・・・それ自体は、まぁこれといって特別に珍しい光景ではない。
 しかし、その指先でもてあそばれているらしい見慣れぬ銀色のジッポに目を向けると、途端に眉間に皺が寄る。
 ( あれは・・・ )

  カチッ   ボッ

 「・・・はぁ~。」
 ジッポの先の炎を見つめて、ハボックはため息をついた。
 ( ・・・本当に、信じていいんスかね・・・ )
 ハボックは、銀色に光るジッポをくれた人に思いを馳せて      頬が熱くなるのを自覚する。
 ( 重症・・・かな、オレ? )
 その時、ふと視線を感じ顔を上げる。
 するとこちらを見つめる大佐の、訝しげな眼差しとかち合い・・・―― 思わず気不味くなり、フッと視線を逸らした。
 そして、おもむろに手にした『それ』をポケットに仕舞い込むと、今度は指先に馴染んだ別のものを取り出していた。

 その如何にも       といったリアクションに、ロイは憮然とする。
 どう見てもハボックの持つ見慣れぬ銀色のジッポは、恋人との祭典 -バレンタイン- のプレゼントだろう。
 しかも『脈あり』の相手からの・・・と、みた。

 ( いつの間に )

 ―― ロイがそう思うのも無理はない。
 なぜなら、自分が密かに      と思い込んでいるのは、本人だけだが      想いを寄せている相手に、そういった虫が付かないよう細心の注意を図って妨害工作を企てていたのは、他ならぬ自分である。
 その為に、一体どれほどの苦労をして策を弄したことか。
 そう、件の少尉のプライベートの時間でさえ仕事に追われるよう、或いは自分を探させるようにと、これまで散々仕組んできたというのに・・・

 ( 抜かったな・・・しかし、それなら早めに手を打ち、相手の方を私に靡かせるまでだ。)

 「 ―― 鬼だな、お前。」
 「うわっ、誰だ!?」

 ロイ・マスタングは、突然背後から聞こえた呟きに、思わず身構えると発火布を使いかけ・・・そこに見出した見慣れた相手の姿に、慌てて力を調節する。
 「・・・なんだ、ヒューズ、貴様か。まったく、驚かせるな。危うく消し炭にしかけたぞ。それに今のは一体どういう意味だ?」
 マース・ヒューズは、親友のそのあまりにもな台詞に、嘆息しながら額に手をやる。
 「お前なぁ・・・ぶつぶつと、全部声に出てたぞ。」
 「なにぃ!?声に出ていただと!どの辺からだっ!?」

 ( ・・・いや、だから全部だって・・・ )

 ヒューズは呆れて首を振りながらため息をつく。
 我が親友-とも-ながら、なにか良からぬことを企む時には何故かしら、必ずぶつぶつと独り言が始まる。いつ、誰かに聞かれることかと思うと・・・危険なこと極まりない。
 「まったく・・・背後には気をつけろよ。お前、いつかぜって~誰かに刺されんぞ。」
 「フッ・・・大丈夫だ。その時には、貴様が風除けになってくれるのだろう?」
 ヒューズの心からの忠告に対しその親友は、そう言ってニヤリと人の悪い笑みを浮かべてみせる。

 ( いや、前言撤回だ・・・いつか俺が刺すかも・・・ )

 ヒューズはやれやれといった感じで首を振りながら嘆息すると、自信過剰のナルシストを無視することに決めた。
 そして、いつの間にか自分達に背を向けながらワタワタと、なにやら慌てふためいて逃げ場を捜すジャン・ハボック少尉に歩み寄る。

 「よっ、少尉!元気か~?」
 「うわっ!はっ、はいっ!中佐こそ、お元気そうでなによりです!」

 ハボックは、自分に対し気さくな様子で手を挙げながら歩み寄るヒューズと、背後の机に逃げ場をふさがれる形になりながら、思わず不動の姿勢をとる。

 ( げぇ~~!?#♂@※★なに言ってんだよ、オレ~/// )

 いつものハボックの、砕けた反応とは明らかに違ったそれ-反応-に、中佐と大佐のふたりが揃って、おやっ、とした風な表情を浮かべ・・・次の瞬間、何かに気付いた様子で大佐の方が眉間に皺を寄せる。 
 「なにやってんだ、少尉?変に・・・おっ、早速使ってんな~!」
 「えっ?・・・げっ!!そ、それは、違っ!」
 ハボックを覗き込むようにしていたヒューズは、机の上で鈍い光を放つ『それ』に目をやると全開の笑顔を浮かべながら『それ』 ―― 銀色のジッポ ―― を手に取る。

 「いいだろう~、コレはよ~!昔、オレも愛用・・・して・・・た・・ん・・・?」

 ヒューズは手の中の『それ』に対する違和感に、言いかけた言葉を途中で飲み込むと口を噤んだ。
 そして何かを思い出そうとするかの如く眉間に皴を寄せると、手にしたジッポをじっと見つめ・・・手の平の上で転がす。

 ( あ~っ!!ば、バレるっ!? )

 ハボックは自分が不用意に取り出していた『それ』を、ヒューズから取り戻そうとして手を伸ばしかけ ―― ヒューズの背後に目を遣るとそのまま・・・口許を引き攣らせて固まった。

 「・・・と、違った。コイツは、別の・・・か。なんだ、俺のやったヤツは・・・ん?」

 ヒューズが手の中に収まった年代物のジッポから目を上げる・・・と、狼狽のためなのか、赤くなったり青くなったりと忙しい、ハボックの引き攣った顔に・・・遭遇した。
 ハボックの目がヒューズに、それ以上言わない方が・・・と、しきりに危険信号を送ってきている。

 「少尉?どうし ── 」   「・・・ヒューズ・・・今のは、どういう意味だ。」

 ヒューズは途中までそう言いかけて、背後からの地を這うような声音にギクリとする。

 ( あ~気のせいか?・・・うなじの毛が逆立つような殺気を感じるんだが・・・)

 そうして振り返った先には、案の定ロイ・マスタング - 焔の錬金術師 - が、発火布製の手袋に手をやりながら、臨戦態勢で自分に詰め寄ってくる姿があった。
 「おい、どうした、ロイ?まさか、俺にそれ-発火布-を使う気じゃあ~ね~だろう?!」
 「 ―― いや、貴様の返事の如何によっては、それも辞さないが、な。」
 「おいおい、返事って言われてもなぁ~、っと・・・ ── 言ってみろ。」
 ヒューズはおどけた様に切り返しかけ・・・相手の発する本気のオーラに言葉を詰まらせるとつづきを促す。

 「貴様、私の部下になにをやった?」
 「・・・た、大佐!!」

 その親友同士である筈の二人の、一触即発の雰囲気に、ハボックが見兼ねて二人の間に割って入りかける。
 しかし、そんなハボックの前にスッとヒューズが立ち塞がり ── その結果、ハボックはヒューズの背後に庇われる形になった。

 

        ──  眼前に広がる赤と青のイメージ
                       そして・・・広くて、大きくて、安心できる背中 ──

 ( ああっ・・・この感じは・・・ )

 
   暗く狭い空間に点る小さな灯り
   包み込まれるような暖かな温もり
   耳元で刻まれる規則的な音
   血と硝煙が混じった嫌な匂い
   穏やかに澄んだ眼差しと共に差し伸べられた腕
   そして、全ての脅威から自分を守るように眼前に広がった青い背中 ──


 ── 既視感

 目の眩むような鮮やかなソレに、ハボックは身震いする。

 そう・・・いまの自分は、その背に隠しきれるほど小さくも弱くもない・・・
 それでも ── いま目の前に広がる背中は、大佐の怒気が混じった本気の気配からハボックを護る効果は充分にあった。

 そして 、一触即発の緊迫感が漂う中、ヒューズが盛大なため息をつき・・・ ――

 「・・・なにを、って・・・なんだ、お前も欲しかったのか?」

 ヒューズは呆れたようにそう言うと、親友の肩をポンポンと叩きながらポケットから、ハボックが持っていた『それ』と良く似た銀色のジッポを取り出す。

 「まったく・・・欲しいなら欲しいで、素直にそう言えばいいだろ~が~。」

 「 「 はいィ? 」 」

 予想外のヒューズの反応に、思わず大佐とハボックが声を揃えた。大佐に至っては、ポカンとした表情で口を開けたまま親友を凝視している。
 「しかし、なんだな・・・お前がタバコを始めるつもりがあるとは知らなかったぞ。だがなぁ、これから上に行こうって奴には、俺としちゃ~あんま勧めらんね~けどよ。」
 ヒューズは親友のそんな様子にはまったく頓着せず、そのまま手にした銀色の『それ』をロイに渡そうとする。
 「・・・なら、いい・・・」
 ロイ・マスタングは、肩を落とし脱力したまま悪友に背を向けると、気まずそうにつづける。
 「すまん。・・・私の勘違いだ。」
 それだけ言うと、やはり気恥ずかしかったのか、それ以上は何も言わずに自分の執務室に向う。
 「まっ、気にすんな。」
 親友のその後ろ姿に、ヒューズはニコニコと笑いながら手にしたままの『それ』をポケットに戻すと、執務室に向うロイの後を追う。
 その際、唖然としているハボックの肩に軽く手を置き、擦れ違い様にその耳元に囁いた。

 「今の、本気にすんなよ?・・・お前にやったのは『特別』なんだからな。」

 パタン、と乾いた音がして、ハボックの前で執務室の扉が閉まった。
 その閉じた扉に目を遣りながら、ハボックは途端にカァーっと熱くなる頬を意識しつつ、ポケットから銀色に光るもうひとつのジッポを取り出す。
 ・・・・・そして、ポツリと呟いた。

 「・・・判ってますよ・・・だってコレ、他の意味になんかとれる訳ないじゃないっスか。」

 ── 鈍い銀色の光を放つその表面には

     To J・H  with Love  From M・H

                       流麗な綴りでそう彫ってあった ──

                               

                        Memory ~ Remenber me ...~ END       


                    《 あとがき、という名の言い訳 》

うわ~っ、恥ずかし~い~(汗)。
私的設定の上、時間軸無視しまくりな展開になっちゃいましたよ~///
当初の目標は『例のお揃の銀色のジッポを大佐に見られて隠そうとするハボックと全然隠す気のないヒューズ氏』というものでしたv
もうひとつのバレンタイン企画とは微妙に設定と時間軸があいませんが、その辺は別物と捉えて頂いて結構です(汗)。

そして、最近すっかり隠す気のなくなった「おまけ」...


それは、宵の口から早々と始まった酒宴でのこと ──

「そういえば、ハボック。ひとつ気になることがあるんだが?」
「なんスか、中佐?」

ハボックは、お気に入りのジッポで煙草に火をつけながら、銀色の『それ』に、なにやらじーっと視線をそそぐヒューズに酒のお代わりを注いだ。

「お前の持ってた『あれ』・・・誰から貰ったんだ?」
「はっ?『あれ』って、なんスか?」
「いつだか、ロイに勘ぐられた時にお前が持ってた年代モンの『あれ』だよ。」
「ああ、『あれ』っスか?」

ようやく思い至ったヒューズの質問に、ハボックは一瞬物足りなそうな表情を浮かべ、それからクツクツと笑い出す。

「う~ん、まあ言うなればオレの『初恋の人』の落としモン・・・ってとこですかね?」
「・・・初恋・・・」

ハボックの返事に、ヒューズが困惑したように眉を顰める。
ヒューズのその反応を見遣るハボックの胸に去来したのは一抹の寂しさ・・・それを振り払うかのように、ハボックが酒の入ったグラスに手を伸ばす、と・・・

「!?わわわっ・・・ち、中佐?急になにするんスか?」

グラスに伸ばしかけた手を引かれてバランスを崩したハボックが、ヒューズの腕の中に引き込まれてワタワタと体勢を立て直そうともがくのを無視して、ヒューズはハボックを抱く腕に力を込める。

「悪りィな、ハボック・・・初恋が男ってぇ責任は、俺がちゃんととってやるからよ。」
「へっ!?」

ヒューズの漏らした苦笑交じりの謝罪に、ハボックはハッとして身体を硬直させる。そして、その反応にようやく緩んだヒューズの腕の力に抗い、ハボックは彼の人を見あげる。

 ―― そこには、 愛しくて仕方がない、といった色を浮かべる灰褐色の瞳があった。

「いつから、気付いてたんスか?」

思わず聞き返したハボックの声が震える。

「『あれ』を見た時・・・と言いたいとこだがよ。実際は、暮れにお前が酔っ払って、昔のことを話し出した時に、ようやく合点がいった・・・って、とこだな。それまでも、何度かお前の過去を調べたことはあったが、【あの事件】のことは一切書かれてないしで、ずっと気にかかってた。」
「気にかかってた?・・そうっスね。中佐は諜報関連の仕事をしてる訳っスから、当然・・・」
「バーカ、勘ぐんなよ。」

ヒューズは【あの事件】と聞いた途端に表情を硬くして俯くハボックの額をピンと指先で弾くと、顎に手をかけて自分の方へと向かせる。

「守ってやる。・・・あの時、俺がそう言った気持ちは、今でも変わらね~よ。」
「・・・中佐、今の科白・・・オレ、嘘でも嬉しいっスよ。」
「ったく、信じろ!」

ヒューズのため息混じりの舌打ちが、ハボックに耳朶をうつ。

「・・・はい、中佐。」

コツリ・・・と、ハボックの額がヒューズの胸に落ちる。

こうして、長い夜はまだまだこれからもつづいていく・・・ ──

                                              FIN.

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2008-01-11 11:11  nice!(0)  コメント(0) 
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