So-net無料ブログ作成

夢から醒めた夢 [二次創作SS]

『傀儡師さまからのお願い』に、こんな形でしか返せないのがちょっと心苦しいね(^^;

一応、秘密のルート・・・と云う扱いになっているので、以下は反転しております。
編集の『すべて選択』を選ぶと、読むのは楽かも(笑)。


 ――― やばかった!

 ハボックは同僚に呼ばれたことをきっかけにヒューズ少佐の許から離れると、その姿が見えなくなる所まで行ってから大きく嘆息する。そして壁に凭れかかる様な格好のままズルズルと廊下にと座り込んだ。

 ここ東方司令部の、しかもマスタング中佐の直属の部下に任命されたその時から、いずれは『彼の人』に遭遇する機会が来るだろうと、そう覚悟はしていたが、まさかあんな形でなどとは思いもよらなかった。
 あまりに急な事で、今もまだ心臓がバクバクといっている。
 ハボックは気を静めようと目を閉じ、次に目を開けると自分の掌をじっと見つめ、それからまるで壊れ物を抱くかのように、ゆっくりと自分自身を抱きしめた。

 ああ、今この瞬間にも思い出せるのは、自分を抱き止めてくれたあの懐かしい温もり ――― そう、それは『あの時』喪った者の大きさに成す術もなく震えていた幼い自分を、しっかりと抱き留めてくれた『彼の人』が残していったあの温もりと一緒だった!!
 その、今もまだハボックの身体を包み込んでくれている様な、夢のような感触さえもが今の自分にとってはなによりも愛おしかった。
 そうしてコレは、決して夢ではないのだ!!


 「ハボック准尉、こんな所でどうしたの?」

 その時【感傷】などと云う温かな温もりに浸るハボックを現実に引き戻したのは、彼にとっては既にお馴染みとなった上官の訝しげな、しかし心配そうな色を含んだ声だった。
 その声に導かれる様にしてハボックが顔を上げると、途端に自分を見下ろす様にして覗き込んでいたヘイゼルの瞳が驚きで見開かれるのが目に入る。

 「・・・貴方、何を泣いているの?」
 「へっ?」

 いつもとは逆に、自分を見下ろしながら告げたホークアイ少尉のその指摘に、ハボックは間の抜けた声をあげると、その時になってはじめて自分の頬を伝う涙に気付き・・・次の瞬間、一気に顔に血が上るのを自覚した。
 ハボックは慌てて袖口で涙を拭うと、勢いよく立ち上がる。
 すると、きゃっ、っと小さな悲鳴が上がり、ハボックの急な動作に焦って身を引いたホークアイ少尉がバランスを崩して倒れそうになるのが目に入り・・・ハボックは反射的にその、明らかに自分より頭一つ分は小柄な身体を抱きとめた。

 「すっ、すみません、ホークアイ少尉!オレ、さっきちょっと懐かしい人を見かけて、それで・・・!!」
 「 ――― わかったから、准尉。離してくれないかしら?」

 ハボックが焦った様にそう言い訳をしながら、わたわたしているのに反して、その腕の中のホークアイ少尉は実に淡々とそう告げてきた。
 その時になって漸く、ハボックは自分がまだホークアイ少尉を抱きしめたままである事に気付き、パッとその手を離すと後退し・・・

 ガツッン

 ・・・嫌と云うほど強く後頭部を壁に打ち付けた。



 あまりの痛みに声もなく頭を抱えて呻いている、自分の下に配属されて漸く一月になる准尉の姿を、ホークアイは再び無言で見下ろした。
 その、短い一月の間にわかった事と云えば、この一見やる気のなさそうなヘビースモーカーでもある准尉が、実は周囲が思っている以上に優秀らしい、と云う事実だった。

 デスクワークは勿論の事、病み上がりの身ながら、射撃、体術と云った軍人として必要最低限の資質を平均以上にこなすその能力 ――― 中でも演習を通しての下士官達から寄せられる信頼 ――― には目を見張るものがあった。

 その准尉が、自らが泣いているのにも気付かず廊下に蹲っていたのだ・・・驚きもする。

 その原因はどうやら、ハボック准尉が先程思わずこぼした『ちょっと懐かしい人』のせいらしいのだが・・・それが誰であるにしろ、こんな風に「自分が泣いていることにも気付かないほど懐かしい相手」と云う事実に興味を惹かれずにはいられなかった。

 そしてホークアイが、その相手が誰であるかを確認した時、また新たな謎が生まれるのだが、それはまた別の話である。

 


 あ・・・なんか、変なところで止まった。

 ・・・はい。
 因みにこの続きは、なんとなく華月の頭の中にはあるのですが・・・文章化するには時間がかかりそうだったので、今回は敢えてこんな中途半端な状態でアップしてみました。
 最終的には、大佐がハボックの『忠実な番犬』としての能力の一端をヒューズの前で引き出すのを目にして、その異常性にヒューズだけが気がつく・・・と云うものでした。

 表題の『夢から醒めた夢』には、華月の捏造設定であるハボックの悪夢のような記憶として残る過去と、この夢のような再会は決して夢ではないのだと、そう自覚していく過程からつけてみました。
 某ミュージカルとは・・・決して関係ない、と・・・そう言い切れると・・・いいな(爆)。

 傀儡師さま、こんな形ですが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。


2007-10-08 00:00  nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証: 下の画像に表示されている文字を入力してください。

 
メッセージを送る

このブログの更新情報が届きます

すでにブログをお持ちの方は[こちら]


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。